〈NPO法人Education in Ourselves 教育を軸に子どもの成長を考えるフォーラム〉による「発達の遅れ」連続セミナー[実例から知る、「発達の遅れ」が気になる子どもの教え方]第20回[大きな「発達の遅れ」があったとしても大切な教育について語る 保護者として、指導者として、福祉サービス事業者として](*)を9月19日(土)、川口市の川口総合文化センター・リリアで開催しました(報告・知覧俊郎)。
*赤い羽根共同募金助成事業 後援:文部科学省、厚生労働省、埼玉県、埼玉県教育委員会、埼玉県社会福祉協議会、川口市、川口市教育委員会、川口市社会福祉協議会
【概要】
▶︎テーマ
[大きな「発達の遅れ」があったとしても大切な教育について語る 保護者として、指導者として、福祉サービス事業者として]
▶お話(体験発表) 25歳男性の母親(Tさん)
▶進行・解説と質疑応答 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)
▶日時・場所 9月19日(土) 9:45〜11:45 川口総合文化センター・リリア1階 催し広場(川口市川口3-1-1)
▶参加者 53名(うち保護者約20名、特別支援学級担任・特別支援教室専門員、スクールソーシャルワーカーなどの学校関係者約20名 埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県、大阪府)
▶参加費 1,000円
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2017年3月にスタートした私たちの「発達障害」セミナーは、コロナ禍という厳しい状況のなか、今回で第20回を迎えました。
その節目となる第20回の講師は保護者Tさんにお願いしました。3歳の時に「知的遅れを伴う広汎性発達障害」と診断された男の子の母親です。重いハンディをもつ息子さんに特別支援学校(小学部・中学部・高等部)でも学習の場を与えたい、そのために学校の協力を得ようと努力した前向きな姿は子育ての貴重な模範となりうると私どもは考えたからです。
幼児期の接し方・教え方(特に家庭学習)の手本になるのはもちろんですが、これからの福祉のあり方を考える際にも参考になると思います。Tさんは「発達障害」を抱える他の子どもたちへの指導も経験し、現在、その経験とノウハウを生活介護事業所という福祉サービス事業の中で具体化しているのです。
セミナー終了後のアンケートに次のようなコメントがありましたが、そうだと感じます。参加者の多くに共通した感想ではなかったかと推測します。
「保護者としての、障害を受け入れるまでの率直な気持ちや、それでも立ち止まらないで歩き続けて来たことの自信を、次の人(自分の子ではない利用者)に対して提供していこうとするお姿に感激しました」
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親の力、子どもの力
母親のTさん自身が公言するように、息子さんは重い障害を抱えています。このセミナーの企画協力をしてもらっている民間の教育機関・エルベテークでもっとも指導に困難をきたした子どもでした。
しかし、幼児期からの学習・練習の継続によって、周りの指示や話を静かに聞き、一人で静かに時間を過ごすことができます。嬉しさなどのあまり大きな声が出てしまっても、Tさんが「静かに」「口を閉じて」などと注意すれば、すぐに思い出して聞き入れ、改めることができます。「こ」「ん」「に」「ち」「わ」と音を重ねながらですが、コミュニケーションもとることもできるのです。
日中は、Tさんが開設した生活介護事業所ではなく別の地域の生活介護事業所に週5日通い、週2日の夕方には行動援護という障害福祉サービスを受けています。Tさんによれば、「子どもには子どもの社会があり、多くの支援をいただきながら、多くのことをひと様に学んでもらいたい」との思いが込められています。
幼児期の大変な状態と比べれば、家族が同じ屋根の下に一緒に生活できる現在の幸せをみんなで噛み締めているにちがいありません。
息子さんの幼児期についてですが、その頃を振り彫りながらエルベテークの河野俊一さんは、「いまだから言えることですが」と前置きし、「Tさんの腕には噛み付かれた歯の痕がいくつもある状態でした」と話しました。
そして、念願の自宅マンションに引っ越ししたあと、それまで気になっていた問題行動が強まった様子についてTさんの説明が続きました。
「忘れもしないですが、玄関で靴を履いた瞬間から泣き始めました」とTさん。用事のために自転車に乗せると、チャイルドシートの中で大泣き。近所の人が振り向くくらいだったと言います。いっぽう、車の中や実家、行き慣れたショッピングモールなどでは泣き止むこともあるため、一時的に避難するケースも。その状態が続きました。
「オムツから自立させる目標もありましたが、そんなことをしようものなら噛み付いてきますし、引っ掻いてきますし、髪の毛を引っ張ってきますし、どうしたことかとほんとうに悩みました。当時は息子と一緒に泣いてばかりで、地獄のどん底……」
「発達障害」という現実を突きつけられた時期になります。かかりつけ医から教えられた発達障害に詳しい子どもクリニックに相談することにしました。そのクリニックで紹介されたのがエルベテークでした。精神的な落ち込みからなかなか抜け出せられなかったTさんは、意を決して教育の力を借りることにしました。
「1年間はどんなに泣いても騒いでも、引きずってでも連れてきます」と指導を懇願するTさん。そして、クリニック側から「ぜひとも見てほしい」と切望されたこともあり、エルベテークもTくんの指導を引き受けることにしました。
「25年の歴史の中で、指導でもっとも大変なお子さんでした。最初、『指導できるのかな』とスタッフみんなで悩んだほどでした」と河野さん。息子さんに近づくだけで噛み付かれたり髪の毛を引っ張られたりするからです。1回目と2回目の授業では指導らしきことは何もできなかったそうです。
1回目の授業で子どもたちの多くが椅子に座って少しずつ学習できるようになる、そんな指導を行う河野さんにとっては例外だったわけです。
転機になったのが3回目の学習です。床にひっくり返ったTくんと目があった先生との間に一種の緊張感のようなものが生まれ、その後、Tくんは「椅子に座ります」との指示に従って15分間、練習に取り組めたのです。
その指導法を家庭でもひたむきに継続したのがTさんの素晴らしい点です。
「基本の『口を閉じる』『手は膝の上に』というキーワードを息子に教えました。私は先生からどういうふうに指導をしていただいたのか、その内容を聞いて、そのまま家で繰り返しました」
カードや型はめの文字盤など、教室で使っている教具・教材を一通り揃え、学習のポイントと目的を学び、それを息子さんに少しずつ応用したのです。やがてTさんが気づいたことがあります。それは、Tくんが口を閉じると見ることに集中できるという事実です。
「見るという姿勢が徐々に整ってきたときにだんだん楽しさが見えてくるんですね。彼の中の『これはわかるぞ、こうやったらこうなるよな』というような……。おそらくそれがステップアップになりまして、一つずつ学習できるものが増えていきました」
河野さんは指導者の立場から「お母さんの言っていることを受け入れる、応じるということができるようになってきたのが一番大きいところです。だから、学習が長続きするわけです」と補足しました。
学習と練習を続けるにつれ、家の中で大泣きする場面も減ったと言います。「『ママの話を聞こう』『ママを見よう』という姿勢がよく伝わってきました」とTさん。生活の中で見るべきところをしっかり見る学習にも拍車がかかりました。鉛筆を持つ、始点から終点までの一本の線を丁寧に引く練習などです。なんと夕ご飯までの2時間、1対1の家庭学習にあてたそうです。
学習開始から6ヶ月後、教室の行き帰りにあんなに大泣きしていたTくんは教室でも家庭でも訳もなく大泣きすることはなくなりました。おじいちゃん、おばあちゃんと一緒の温泉旅行が実現し、ショッピングやレストランでの食事など普通の生活を送れるようになりました。「それまでは腫れ物に触る感じ。そこからいろんな人が関わっていけるようになった。そういうふうにもっていかれたことがいちばん大きいと思います」と河野さんは親の役割を強調しました。
特別支援学校の先生方を巻き込みながら
息子さんは、市の障害児通園施設を卒業後、特別支援学校(当時は養護学校)小学部に入学しました。1年生の時には飛行機に乗り片道2時間の旅行を経験するまでになっていました。
しかし、入学後、Tさんが直面したのが、自らの子育てと学校の授業との大きなギャップでした。着ぐるみが登場し、人形と学習する雰囲気の授業を目の当たりにし、Tさんは感じていたことを学校の担任へ伝えました。「短時間でもいいので、机に向かって椅子に座って、しっかり学習をさせてもらえないでしょうか」と。支援の仕方ひとつでTくんの姿勢は変わるという自信があったからです。
Tさんにとって、今でも忘れられない言葉があるそうです。それは、「一対一で、目の前の人の、目を見て話を聞けないのに、集団生活の中で、何を理解できるのか。まず、一対一で力をつける必要がある」です。当時、河野さんがTさんに向けて送った助言ですが、悩んでいたTさんはこの言葉ではっと目が覚めると同時に、長い間、励ましになりました。
学校との信頼関係が生まれたのはようやく高学年になってから。Tさんの機転がきっかけでした。
「担任が家庭訪問に来てくださった時に『息子の様子を見ていただけないでしょうか』と伝え、家庭学習を見ていただきました」
Tさんと息子さんが向かい合って学習する様子、数字盤の上にコマを置いたり50音の文字の書かれたコマを探して置いたりという学習を見て学校の先生も驚きました。その後、エルベテークでの学習の様子も見学してもらうまでになり、そこで初めて学校の先生の理解が得られました。
「『では、少しずつさせていただきます』ということで、ほんの少しですが、学校のキャリキュラムの中に個別学習の時間をとってくださり、向き合ってくださるようになりました。大変ありがたかったです」
そうした経緯があり、Tくんが中学部に進学しても、「Tくんは個別がいい」との理解は学校側にも浸透し、個別学習の時間を取り入れてもらいました。学校との関係について河野さんの解説は次の通りです。
「先生方の協力をいただくということは重要なポイントです。1日1回でも『口を閉じて』という形で注意してもらえるとずいぶん違うわけです。学校の先生方はいろんな子どもを見ているわけで、一人の子どもがどんな力をもっているのかを把握するのはなかなか難しい状況ですので、こちらから伝えていくしかないと思います」
残念だったのは、高等部に進学してからのこと。個別学習は実現せず、1年生の時から着ぐるみの人形を使った授業が再開されたからです。
Tさんが歯がゆい思いをしたのは、ハンディを持ちながらも一生懸命健気に学習・練習に取り組む子どもたちを間近で見ていたので、特別支援教育のあり方に疑問を感じたからではないでしょうか。
不安な時代だから貴重な、前向きな心構え
「知的遅れを伴う広汎性発達障害」の子の母親、そして6年半の指導者としての経験と知識がTさんの人生を大きく変えたといってよいでしょう。数年前、脱サラしたご主人と一緒にNPO法人を立ち上げ、生活介護事業所を開所したのです。すでに6年目を迎えています。
「いつからか夫婦で語り合うようになっていました。障害者の息子と生きていく人生ならば、同じ障害をもつ多くの方々と生きていきたい。少しでも社会貢献したい」という思いが原動力になりました。まず、経営的に軌道に乗せるために、1年間の準備期間に表具屋の仕事を身につけ、それが現在も役立っているとのことです。
利用者(視覚障害、聴覚障害、知的障害の方たち)の多くは、特別支援学校を卒業した重い障害や重複の障害をもつ方たち。「お預かりするのは6時間15分ですが、この時間に利用者さんの成長と生活の安定がかかっているといっても過言ではないということを常々事務所の職員に伝えております」と話すTさん。
「学校生活でできたことができなくなったということがあってはならないし、むしろ、できることが増えたというふうに親御さんに評価いただかなければならないと思っております」
責任者としての自信と使命感に溢れていました。
そして、「利用者さんは障害者だということを一つ胸にストンと落としての言葉であることをご理解いただきたいと思います」と前置きしたうえで、基本的な姿勢となっている「教えるべきことに健常者と障害者の違いがあるわけではない」の言葉を紹介しました。別の言葉に言い換えれば、「みんなと生きていくルールを教えています」ということです。
「発達上の遅れを抱える子どももそうでない子どもも身につけさせたい力は同じである」というエルベメソッドの指導方針が福祉の世界で継承されています。
福祉の中で「教える」を大切にしているTさん。成果の一つとして、それまでトイレに15〜30分かけていた全盲の利用者に対し定時排泄を求めたプロセスが紹介されました。関わりの結果、尿意をもよおすと一人で立ち上がり、用を済ませたらトイレから出てくるという当たり前のことができるようになりました。「トイレをオアシスにはしたくなかった」という言葉がTさんの覚悟と自信を感じさせました。
そのほかにも貴重なエピソードが語られました。短い言葉ではっきり伝えるように指示の仕方を統一し、やるべきことは自らやるように促している様子が窺えました。
Tさんの「発達障害」に対する思いはきわめてシンプルです。
「息子のような重度の子を見ている側としては、少しでも言葉が話せるのであれば、その言葉をきちんとした形で使っていけるように、親御さんたちは勇気をもって取り組み、お子さんに力をつけさせていただきたいなと思っております」
若い保護者へのエールにもなっていました。
いま、不安と不信が私たちの周りを取り巻いています。それだけに、Tさんの体験に基づいた堂々とした話は多くの参加者へ勇気を与えたのではないかと感じました。
実は、この日、かつてTさんの指導を受けた男の子(現在、小学6年生)の母親もセミナーに参加されました。「対談は、言葉1つ1つが胸に響き、できる限り心に刻み、メモしました。家に帰り家族に伝えたいです」という感想を書き残していたのが印象的でした。
最後に、セミナーに参加した会員の声も紹介させてもらいます。
「講師のTさんのお人柄と経験からの発言の力強さ! 事業所を見学させていただいているので、なおのこと。途中で立ち上がり、拍手したいほどでした」
「ステージ上から見ても皆さん本当に熱心にお話を聞いていらして、とてもいいセミナーだったと思います」
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【参考 体験発表の流れ】
(1)現在の様子
□日々の生活とエピソード 同じ屋根の下で家族と一緒に過ごせる幸せ、特別支援学校卒業後は別の生活介護事業所に通う生活
(2)幼児期の様子
□うすうす気づいていた発達上の課題 引越しをきっかけに大きく生活が変わった□発達上の課題 言葉の遅れ(言葉がまったく出ない)、こだわり、大泣き、奇声、多動、自傷・他害行為など……一緒に買い物にも行くことができない生活……3歳6ヶ月の時にかかりつけの小児科医から「知的遅れを伴う広汎性発達障害」の診断
(3)学習による変化と手応え
□エルベメソッドの出会いと最初の相談会での様子 Tくん4歳6ヶ月の時に小児科医からの紹介……母親Tさん「ハンディのある子にも学習は必要」……これまでエルベテークで指導にもっとも困難だった子
□エルベメソッドの指導 転換点となったエピソード(寝転がって暴れるTくんと先生の目と目が合った瞬間、「先生を見なさい!」の一言。泣き止んだTくんを椅子に座らせ、教具を使っての学習がスタート(最初は15分間))
□エルベメソッドの原点 「口を閉じて」「黙って」「手は膝の上に」「先生のほうを見て」などの指示……目と耳と手・指を効果的に使って繰り返しの練習……あいさつ・返事・報告の大切さ……ポイントは「応じる姿勢」「受け入れる姿勢」
□週1回80分の指導の成果・効果 Tくん自身が「見るとはこういうことか」とわかるように……6ヶ月後には大暴れや大泣きがなくなり、明るい表情へと変化……ショッピングやレストランでの食事が可能に……祖父母と一緒の温泉旅行も経験
□家庭学習について 指導の様子を見学し、家庭でも1対1の練習(効果的な教材・教具も準備、家にある物も活用し、約2時間)……1年後にTくんは一人で静かに練習できるようになった……Tさんも接し方・教え方のコツをつかむ
(4)学校生活
[小学校]
□特別支援学校(小学部)への入学 就学前の学力(数字は一人で書け、ひらがな・カタカナも読める)……弱点は読解力とコミュニケーション
□学習の積み重ねにつれ力が定着 段階的な成長(鉛筆が持てる→手を添えると文字が書ける→書くことに集中できる)……小学6年生までエルベテークで学習
□学校との信頼関係・連携 家庭訪問し驚いた担任の先生たちが学習の様子を見学……「可能なかぎり学校でも学習の時間をつくります」と約束
□家庭生活 1年生の時には飛行機に乗って片道2時間の家族旅行を体験……その後、海外旅行も [中学校]
□中学生(中学部)・高校生(高等部)の時の様子 学校での個別学習のこと
(5)これまでを振り返って
□指導者として エルベテークで講師として6年半指導にあたる □脱サラしたご主人と一緒にNPO法人/生活介護事業所を設立・運営
□福祉と教育の接点 福祉の世界で感じること……「『教えるべきことに健常者と障害者の違いがあるわけではない』という基本的な姿勢で支援に取り組んでいます」
□教えれば変わる、教えれば伸びる 知的障害をもつ全盲の利用者(靴が履けるようになった!)、重い自閉症の利用者(聴覚過敏への対応・工夫)、それぞれの頑張り
□同じような悩みを抱える保護者へ向けて 「息子よりも状態の軽い子どもなのに、なぜきちんと教えないのだろうか?」「自信をもって教えましょう!」
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【参考 アンケート】(全部で37通。その一部を原文のまま紹介します)
●保護者の体験発表についての感想-1「特にどの部分に共感されましたか?」の回答
・就学前の保護者の声
「お子さんをなんとかしようという気持が大切なこと、を思い知らされました」(5歳と3歳の祖父)
「じごくに落とされた気持ちから現在に至るまでの心情が共感と勇気を頂きました」(5歳の保護者)
「息子に似ている部分が多く、共感することが多々ありました。繰り返し伝えていく、繰り返しの学習が大切だということに共感と、改めて大切さを確認しました」(6歳の保護者)
・小学生の保護者の声
「「先生方の協力を得ることが大事」ということ 放っておく対処方法では限界があること」(小1の保護者)
「子供の可能性を信じて、あきらめずに目標を決めて取り組む。周囲の協力を得る」(小2の保護者)
「日常生活におけるルールを守ることをきっちりとするということ」(小5の保護者)
「教えるべきことに健常者と障害者のちがいがあるわけではない、ということ」(小6の保護者)
「子供と向き合おうとする姿勢。人生には全てルールがあるということ。1つ1つ学習を通し、教えていこうとしている所。勉強になります」(小6の保護者)
・中学生の保護者の声
「ご自身が設立された事業所に通う利用者さんの「成長」を考えていらっしゃることに共感しました。大人になってからも「できることを増やすこと」を目標にしていることが素晴らしいと思います。私も子供の可能性を信じて、これからも頑張り続けます」(中3の保護者)
・教育関係者の声
「・ダメなことは「ダメ」と伝えなければ、OKだと学習してしまう ・指導者の指示を統一する ・見て見ぬふりをしない ・周りがその子に「かかわりやすくなるように」という視点」
「個別の学習を重視し、学校にもきちんと勇気をもって要望したこと」
「支援者・指導者の毅然とした姿勢によって子どもが成長するということ」
「1日2時間家庭学習に向き合うお子様に対する熱意、指導力と姿勢。教育関係者として、保護者の思いがわかりました」
「「みんなと生きていくルール」を身につけさせたいという言葉が印象に残りました」
・福祉関係者の声
「支援者としての、利用者さんと真剣に向きあう姿勢を改めて実感しました。利用者さんの「できた」を大切にしたいです」
●保護者の体験発表についての感想-2「『子育て(指導)のために役立ててみよう』と思ったことはなんですか?」の回答
・就学前の保護者の声
「目を見て伝えたり文字を線を引くれん習からさせて見ようかと思いました」(4歳の保護者)
「Tさんのように家庭学習をしっかり出来ていない事を恥ずかしく感じました。2hはムリでも、もっと工夫すべき点を見直していこうと思います」(5歳の保護者)
・小学生の保護者の声
「・子供に対してていねいに接していく ・達成感を感じさせる ・家庭でも、学校や事業所でも互いの信頼を構築していくことで子供への教育につながる」(小2の保護者)
「子どもが応じられるようになると、自分も教えやすくなるために、1つ1つ積み重ねたいと思います」(小2の保護者)
「子どもの力を信じて、1つでも2つでも出来ることを増やして行ける様、指導していきたい」(小5の保護者)
・その他の保護者の声
「『どうせ……』という気持ちは捨て、あきらめず教え続けること」(小6の保護者)
「重度知的障害者の保護者には、まずできるかもしれないと思ったり教えることの価値と成果がわからないので教えること自体をしようとしない人が多いと感じてきました。もったいないと常々思っていました。Tさんのように重度の方の実例講演は少ないと思うので、これからも伝え続けてほしいと思いました」(21歳の保護者)
・教育関係者の声
「・『教えるべきことに健常者と障害者の違いはない』……常に、自分に言い聞かせたいと思いました ・発語ができる子の独り言・鼻歌について、自信をもって正しい表現方法をきちんと教えなければ、と思いました」
「人の話を聞く姿勢をしっかり身につけさせること」
「日々の指導の中で障害があっても学ぶことは大切だ、子どもの成長をあきらめてはいけないと自分は考えています。保護者の方の理解が得られていませんが、子どもは変わってきました。改めて保護者と信頼関係を築き、家庭と連携していければと思っています」
・福祉関係者の声
「重度障害の児童に対して『この子は仕方ない』とあきらめて対応するのではなく、きちんと向きあって個別対応できたらと思いました」
●保護者の体験発表についての感想-3「その他、今回の体験発表/セミナー開催で感じたことをお書きください」の回答
・就学前の保護者の声
「子供を持つ親として子育てや日常生活学習面で不安なことが多かったのですが、今日お話を聞かせていただき今後の為になることを教えていただけたのでゆっくりと子供と一緒にやっていこうと思いました」(4歳の保護者)
「見ることが出来ないから、聞くだけに頼り、そうすると、オウム返し、奇声に通じる、とても耳が痛いです。我が子の問題点に気付かされました」(5歳の保護者)
・小学生の保護者の声
「重度の障害を持つ子を持つ親御さんが、使命感をもって仕事をしている様子に心をうたれました。私もしっかりやらねばと感じました」(小1の保護者)
「子供が1人立ちするまでに1つでも多くの基本や生きていく力をつけさせる必要があることを再認識させてもらいました」(小2の保護者)
「障害の重さ軽さは違っても、前へ進む方法は、同じであること。人間、その人の可能性を伸ばす教育が大切だなあと感じました」(小4の保護者)
「課題をもつ子の親として、Tさんの姿勢に刺激を受けました。まだまだ、希望を持ち努力する余地が自分にはあると気付かされました。ありがとうございました」(小6の保護者)
「知的障害児・発達障害児教育の根幹を変える位の内容になり得ると感じます」(21歳の保護者)
・教育関係者の声
「それぞれの子どもに応じた指導を考える、というあたりまえのようで、実際はおろそかになりがちなことに改めてきづかされました。『着ぐるみ……』のお話を伺い、自分も単に注目・興味をひくために安易な方法を用いることがあるので、子どもをしっかりとアセスメントして、その子に合った手立てをとらなければいけないと思いました」
「Tさんの話をきいて、学校として保護者の要望やアドバイスをけんきょに聞いて、きちんと次につなげるという姿勢と、一方で本人の自立(社会生活をおくる)という視点から、例え保護者の考えに沿わないことでもきちんと学校の考えをせつめいし、ねばり強く指導するという姿勢の両方が必要なことがわかりました」
「話を聞きながら担任している子ども達1人1人の顔が浮かびました。参考にできるところを取り入れていこうと思います」
・福祉関係者の声
「基本が大事、自分が支援できちんと出来ているか考えさせられました」
「保護者としての、障害を受け入れるまでの率直な気持ちや、それでも立ち止まらないで歩き続けて来たことの自信を、次の人(自分の子ではない利用者)に対して提供していこうとするお姿に感激しました。私も同じ思いを持ち続けていきたいと思いました」(17歳の保護者)
●河野俊一さんの進行・解説についての感想
「こちらの聞きたかったことを端的に話していただいてわかりやすかったです」(6歳の保護者)
「わかりやすかったです。ポイントポイントを絞っての進行が良いと思いました」(小2の保護者)
「事例について、Tさんと交互に解説をしていただいたのが内容を理解しやすく、とても勉強になりました」(教育関係者)
「話をふり返りながら進めてくださったのがわかりやすかったです」(教育関係者)
「優しいかんじで良かったです」(福祉関係者)
「わかりやすい解説と、長い期間、保護者・本人にとっての良き理解者でいらっしゃること、うらやましく思いました」(福祉関係者)
「大変具体的で、わかりやすい細かな説明でわかり参考になりました」
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コロナ禍の影響により開催時期の間隔が狭まってしまい、前回の8月2日に続いての開催となりました。会場については、初めて川口総合文化センター・リリアを利用しました。
感染防止対策として、会場側の協力を得て座席の前後左右を開けるなど座席間の距離を確保し、室内の換気も行いました。参加者の方々には手指の消毒、検温、マスク着用などをお願いしました。ご協力、ありがとうございました。
この日の参加者は、2歳から21歳までのお子さまをもつ保護者の方などでした。特別支援学級の担任や特別支援教室専門員、スクールソーシャルワーカーなど、学校関係者の方も20名ほど参加されました。福祉関係者の方の参加もありました。
なお、今回もセミナー開催にあたって告知用のチラシを小学校・中学校長あてに配布しました。埼玉県内ではさいたま市や川口市、蕨市など23の市教育委員会の協力を得たほか、東京都では北区、台東区、江戸川区、墨田区、千葉県では船橋市、流山市の各教育委員会の協力をいただきました。
『東京新聞』2020年9月15日朝刊「生活」欄に小さな記事でしたが、案内記事を掲載していただきました。
(報告/2020年9月3日 知覧)
(撮影 堀)
■次回(第21回)
[テーマ] 「「やればできる、子どもは変わる」それが私の学んだこと —コロナ禍の中で浮かび上がる確かな成長—」
[プログラム]
お話(体験発表) Tさん(高校1年生の母親)
進行と解説 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)
[日時] 2020年12月19日(土) 9:45〜11:45(受付開始9:30〜)
[会場] としま区民センター6階 小ホール(東京都豊島区東池袋1-20-10 JR他各線池袋駅東口より徒歩7分)
[定員] 70名(保護者、教育・療育関係者、医療・福祉関係者、市民)
[参加費](資料代等) 1,000円
*後援 文部科学省、厚生労働省、埼玉県、埼玉県教育委員会、埼玉県社会福祉協議会、東京都看護協会 など
●感染拡大防止対策として、会場の定員(160名)の約半分の定員としています。
●セミナー当日はNPO法人として会場入り口で消毒液やマスクを準備し、検温・換気・除菌など、十分に気をつけて臨みたいと思いますが、参加の際は感染防止対策(マスクの着用など)をよろしくお願いいたします。
●発熱、咳、鼻水など風邪の症状がある場合は参加を控えていただくようにお願いいたします。