[REPORT]報告-セミナー第2回(2017年4月17日)

連続セミナー「わが子の「発達の遅れ」に直面した保護者とともに考える」第2回(後援:埼玉県、埼玉県教育委員会、さいたま市)をさいたま市の武蔵浦和コミュニティセンターで開催しました。


【概要】

 

・テーマ「言葉の遅れを改善し、読み書きの力を身につけるまで」

・お話(体験発表) 小学4年生の母親

・まとめと質疑応答 河野さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)

・4月17日(月) 10:00〜11:55 武蔵浦和コミュニティセンター(さいたま市南区別所7-20-1)第1集会室

・参加者 37名(当初予定した定員38名のうち1名欠席)

・参加費 500円(資料代)

 

【体験発表】

 

 今春、小学4年生になる息子をもつ母親のYさんから貴重な体験発表がありました。

 

 (1)息子さんが年中の時、「知的遅れを伴う自閉症」と診断されたあと、発音・発語を求めてさまざまな公的な療育施設、民間の療育教室に通った母親の気持ちと行動について(ご主人や祖父母の対応・感想についても)

 

 (2)発音・発語を促す効果的な言語指導などの適切な指導法に出会い、最初にわずかに出た6音を手がかりにして4ヶ月後には38音にまで増えた子どもの具体的な成長について

 

 (3)学習面にとどまらず、生活面においても現れた子どものはっきりとした成長の姿と、親として「こうして教えていけばいい」と感じた確信について

 

 (4)息子さんが共感・実践した効果的な指導のポイントについて(通常の療育では見られなかった視点・ノウハウ)

 

 (5)発音・発語の課題を乗り越えたあと、成長に伴って新たに生まれた行動面・感情面の課題に取り組んだ経緯と、コミュニケーションと読み書きの練習に取り組む現在の息子の様子について

 

 (6)具体的な家庭学習ならびに学校との信頼関係づくりのポイントについて

 

 (7)発達の遅れをもつ子どもを育てる保護者へのメッセージ

 

【まとめ・解説】

 

 河野さんからは家庭での接し方・教え方、学校との信頼関係づくり、子育てに向き合う親の心構え、親だからこそ可能な役割などについて、長年の指導実績に基づいた具体的なまとめ・解説がありました。

 

【質疑応答】

 

 参加された保護者から、他の保護者との協力関係について、家庭での子どもの接し方(特に、気持ちをコントロールする方法)について質問があり、Yさん、河野さんからそれぞれ回答・助言がありました。

 

【アンケート】(全部で21通)

 

「(話が)より具体的で、これからの(子育ての)勇気と力になりました」

「成長の過程とYさんの当時のお気持ちがよくわかり、とても貴重なお話を聞くことができました。(中略)そして、ご両親の“もっと何か方法があるのでは”というあきらめない気持ちが一番大切であり、可能性を広げられるのだと感じています」

「今やるべき事をしっかり復習して本人に自信をつけさせたいと思いました」

「(子どもにとって)言葉が大切だと改めて感じました。家庭での過ごし方、今日から変えていきます」

「子供と読み書き、発音を前向きに取り組んでいきたいと思いました」

「現状に満足せずに、子供と共に成長していこうと思いました」

「また明日から頑張ろうという気もちになれました」

「体験談をお聞きして、とても参考になりました」

「小さい頃からの事を丁寧にお話して下さり、息子と重なる部分も多くあり、Yさんのお気持ちもとてもよく分かりました」

「こうした実績を、当り前ともいえる考え方を広めていっていただきたいと思います」

「言葉の取得が(子どもの)コミュニケーション力を高めていくポイントだと理解できた」

「息子に向かう自分の姿勢を見直して1日1日を大事にしていこうと思いました」

「(Yさんの)成長歴がとても似ていて共感するところが多かったです」

「孫の事で感じる事があり、ここ(のセミナー)に来て、はっきりした様に思われます。これからもこの様な場で勉強させて頂きたいと思っています」

「色々な体けんを聞かせていただきありがとうございます」

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 今回のセミナー第2回では特に、子どもが言葉を獲得する(発音・発語する)意味に大人がもう一度着目する大切さが語られました。そして、参加者の多くの方がその体験発表や指摘に納得されたようです。

 

 残念ながらいま世の中では、「発達の遅れ」をもつ子どもに対する効果的な言語指導の方法が確立されていないため、発音・発語の指導が先延ばしされている現状があります。しかし、そうした助言が親の切実な期待に応えていない事実、同時に、実際には適切な指導によって子どもは早期に発音・発語ができるようになり、めざましい成長を見せる事実が示されました。

 

 

 当NPO法人としても、こうした保護者の切実な声に応える為にも「事実と実績」を伝えることが求められていること、また具体的な「事実と実績」を多くの人が知れば、「言葉が出ないのは個性のひとつ。理解してあげよう」「やがて話せるようになる」といった安易な考え方が反省を余儀なくされるにちがいないことを強く感じました。

 

 看護師の立場からわが子の「発達の遅れ」と子育てについて貴重な体験発表があった第1回に続き、第2回も参加された保護者にとって有意義なセミナーになったと確信します。

 

(報告/2017年4月18日 知覧)


(撮影 堀)