連続セミナー[わが子の「発達の遅れ」に直面した保護者とともに考える]第1回(後援:川口市)を川口市のメディアセブンで開催しました。
【概要】
・お話(体験発表) 小学4年生の母親(看護師)
・まとめと質疑応答 河野俊一さん(エルベテーク代表/医療法人エルベ理事)
・3月12日(日) 10:00〜11:45 メディアセブン(川口市川口1-1-1)プレゼンテーションスタジオ
・参加者 約40名
・参加費 500円(資料代)
【体験発表】
第1回は看護師でもある母親に登場してもらいました。ご主人の赴任先である台湾で子育てを続けている時に、息子さん(現在小学4年生)に「自閉症」の診断が下されました。
しかし、「私の場合、のんびりやってられない」と子育てのハードルを高く保ち、教育・学習を軸にした接し方を家庭で重ねるにつれ、その成果が集団生活の中ではっきり現れたことに手応えを感じるようになりました。その後、看護職への復帰も実現しました。
主に次のような内容で話してもらいました。
(1)息子さんの「自閉症」の診断から台湾での療育、そして子育ての目標をたて、適切な指導法に出会うまで
(2)帰国後、効果的な指導による子どもの具体的な成長と親としての確信
(3)母親が共感・実践した効果的な指導について(通常の療育には見られない視点・ノウハウ)
(4)現在の息子さんの様子と家庭学習のポイント
(5)「発達障害」の子どもを育てる保護者へのメッセージ
その他、看護師としての一般的な「常識」と「親としての常識」との間の葛藤、診断からその後の対応まで台湾と日本の違いについても言及しました。
なお、母親の体験談と河野さんの解説は看護雑誌『ナース専科』(エス・エム・エス発行)3月号の記事「子供の「発達障害」をめぐる現状と課題」に掲載されました。興味のある方はご一読されるよう、お勧めします。
【対談】
母親と河野さんとの対談を通して、子育ての中でどのような不安や焦りが生まれ、それが具体的な接し方・教え方というアドバイスによって息子さんが自分の課題に気づき、自らコントロールできるようになっていったかというプロセスが具体的に語られました。
子どもの成長は、母親にも子育ての見通しを立てることができるメリット・自信が生まれた事実についてもお二人は確認し合いました。
【アンケート】(全部で19通。その一部を原文のまま紹介します)
●就学前の保護者の声
「就学前までに、素地をつくることの大切さ、わからないから教えてくださいといえること、息子さんの療育に際してのアプローチの仕方や有用なお話をきかせて頂きました。有難うございしました。子どもの状態に見合った学習の見極めやコントロールをつけさせる為のもっていき方、ためになりました」
●小学生の保護者の声
「体験談と自分の今までと重なる部分を思い、お話を伺いながら子育てを振り返ることができました」
「自分に重なるところもあり、とても興味深く拝聴いたしました。気持ちのコントロールは子供の問題でもあり、私の問題でもあります。気持ちを改たに「実践」をしていきたいと思います」
「目を見て話す、短い言葉で指示をする、そして褒める、全てにおいての重要ポイントだと分かりました。具体的に例をあげたお話しで自身も抱えていた問題でしたのでたいへん参考になりました」
「発達障害は、少数派の立場で、親も子供も路頭に、迷うこともあり、悶々と悩みます。この悩みを、同じ立場のお子さんを持つ保護者の方の話を聞きまして、勉強になりました」
「子供の段階、課題を正確に把握していくことで今、身につけるべきこと、次、身につけるべきことを意識することで、効率的な教育につなげていけると思いました」
●中学生以上の保護者の声
「子供の課題に対して常に前向きに明るく取り組んでいる姿にはげまされ勉強になりました」
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現在、いわゆる「発達障害」が社会的な注目を集めるのとは対照的に、教育的なアプローチの積み重ねによって子どものどこがどのように変わったかという、継続的・具体的な実例の紹介が乏しい問題点が指摘されています。
それだけに、体験談と対談、まとめ・解説による今回のセミナーが、同じような子育てをしている保護者の方々に参考になるのではないかと考えています(*)。
(報告/ 2017年3月31日 知覧)
(撮影 堀、柳元)
*連続セミナー第1回は、「わが子の「発達障害」に直面した医療者とともに考える」としてスタートしましたが、その後、「わが子の「発達の遅れ」に直面した保護者とともに考える」と名前を変更し、現在、展開中です。
今後、医療者/保護者として、医師、看護師、薬剤士、臨床心理士、言語聴覚士などからお話を聞く予定になっています。